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マスターソアラ
通算成績3戦2勝
獲得賞金6,597万円
生年月日 2023.04.20(令和5年)毛色 鹿毛性 牝
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順血統
金色の名は掲載馬 — その馬のページへ/点線の名は押すと一言解説| First Defence | ||
| Honest Lady | ||
| Bird Flown | ||
| Silver Star | ||
| ダイワメジャーDaiwa Major | ||
| イグジビットワン | ||
| Tsar's Pride |
旅程 — この馬の物語
2023年生まれの鹿毛の牝馬。父シスキン、母マスターワーク。主な勝ち鞍は紫苑S。
傑作と、舞い上がる者 ― 名と血、府中の新馬戦
マスターソアラ。JRAに登録された馬名の意味は「傑作+上昇する人。成功者」。高く舞い上がる者、という響きを持つ名だ。 2023年4月20日、北海道白老町の社台コーポレーション白老ファームに生まれた鹿毛の牝馬。父シスキンは、2020年のアイリッシュ2000ギニーを無敗のまま勝ったクラシック馬で、翌年から日本で種牡馬になった。母の父はダイワメジャー。 母系には走る血が近い。祖母イグジビットワンの息子に、2017年の中日新聞杯を勝ったメートルダールがいる。マスターソアラから見れば叔父にあたる。同じ祖母の孫には、2024年のダービー卿チャレンジトロフィーを勝ったパラレルヴィジョンと、2025年の東京スポーツ杯2歳ステークスを勝ち、2026年の日本ダービーで2着に入ったパントルナイーフがいる。二頭とも、彼女の従兄だ。 馬主はインゼルレーシング。預けられたのは美浦の蛯名正義厩舎だった。騎手としてJRAのGIを26勝し、2010年にはアパパネで牝馬三冠を果たした名手が、2022年3月に開いた厩舎である。 2025年11月15日、東京の芝1600メートルの新馬戦。鞍上は横山武史、3番人気。道中は14頭の9番手に控えた。前半はゆったり流れ、最後の3ハロン(ゴールまでの600メートル)で一気に速くなる瞬発力の勝負になった。直線で外に出されると、メンバー最速の上がりで伸びる。ルメールのシニャンガとの追い比べを、クビ差で制した。 横山は素質を認めたうえで、課題も一つ挙げている。「テンションが上がる部分もあるので、今後は気持ちと体のバランスが鍵になりそう」[^1]。
出典:中日スポーツ「【東京6R新馬】3番人気マスターソアラが追い比べを制す 横山武「リラックスして走れていたし、しまいもいい脚をつかってくれました」」2025年11月15日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/1164650、閲覧日:2026年9月23日。
半年の空白 ― クイーンカップから紫苑ステークスへ
明けて2026年2月14日、デイリー杯クイーンカップ(GIII)。キャリア2戦目で重賞に挑んだ。16頭立ての15番、外寄りの枠から4番人気。道中は6番手を進み、直線でも脚は使ったが、4着までだった。 勝ったのは、前めの位置から抜け出したドリームコア。差は0秒6あった。ドリームコアはこのあと桜花賞を経て、オークスで2着に入る。同じ世代の先頭を走る一頭が、ここでマスターソアラの前にいた。 そこから6か月半、マスターソアラは実戦から離れた。蛯名は、長い距離を走るために気持ちの面を整えてきたと語っている。デビューの日に横山が挙げた課題は、そのまま厩舎の課題でもあった。 次の舞台は9月の紫苑ステークス。これまでの2戦はどちらも東京の芝1600メートルで、2000メートルも中山も初めてになる。蛯名は、初めてのことだらけで、相手もGIで好走してきた強い馬だと慎重だった。
雨の中山、二千メートル ― 紫苑ステークス
2026年9月6日、中山。雨の中、芝は重馬場だった。 鞍上は大野拓弥。先々を見据えて、この日は折り合いを第一に乗ると決めていた。スタンド前からゲートが開く。マスターソアラは後ろから4頭目あたりに収まり、1コーナーを回っていった。 流れは緩まなかった。先頭のナイスプレーアスクが刻んだのは、1ハロンごとにほとんど同じ速さのラップだった。息を入れる区間がない。重い馬場で、それが延々と続いた。 向正面、マスターソアラはまだ動かない。3コーナーでひとつ、ふたつと順位を上げる。4コーナーで中団まで押し上げ、直線を向いた。 前の馬たちの脚が鈍り始める。逃げたナイスプレーアスクも、好位にいたリアライズルミナスも伸びない。先に抜け出したのは、後ろから来たサムシングスイートだった。 マスターソアラは脚を止めずにそれを追い、ゴール前で競り落とした。差は半馬身。 人気を集めたドリームコアは3着。半年前に先着を許した相手が、今度は後ろにいた。 大野は、思ったよりいい位置が取れ、リラックスして走れたと振り返った。デビューからわずか3戦目、初めての距離と初めてのコース。重賞初制覇だった。
顕彰の年に ― 上昇する者
この年の6月、蛯名正義は騎手として競馬の殿堂入り(顕彰者)に選ばれた。騎手時代には、2010年の秋華賞でアパパネとともに牝馬三冠を完成させている。殿堂入りから3か月足らず。今度は調教師として送り出した牝馬が紫苑ステークスを勝ち、その秋華賞への優先出走権を手にした。 新馬戦で横山が挙げた課題は、気持ちと体のバランスだった。体は、デビュー時の478キロから492キロまで大きくなった。気持ちは、厩舎が整えてきた。それでも大野は、テンションが高ぶりやすいところはまだあると付け加えている。課題は消えていない。ただ、それを抱えたままでも勝てることを、この馬は雨の中で示した。 紫苑ステークスの二日前、蛯名は慎重な言葉を並べたあとで、最後にこう添えていた。「素質は期待していますから」[^1]。 雨の中山で、その言葉はひとつ形になった。傑作と、上昇する者。名前の後ろ半分は、まだ空の途中にある。
出典:東スポ競馬「【紫苑S・生情報】マスターソアラは勢いあるシスキンの産駒 蛯名正義調教師「落ち着きがありますね」」2026年9月4日配信、閲覧日:2026年9月23日。
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