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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

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ピコローズPiko Rose
Piko Rose

ピコローズ

通算成績16戦5勝

獲得賞金1億1,120万円

生年月日 2022.05.10(令和4年)毛色 鹿毛性 牝

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ピコローズの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
1 GIII京成杯オータムH 中山 芝1600 10人気 三浦皇成 1:32.0 上り33.6
1 新潟日報賞 新潟 芝1400 3人気 田辺裕信 1:19.4 上り33.1
8 フリーウェイS 東京 芝1400 5人気 三浦皇成 1:21.4 上り32.8
6 幕張S 中山 芝1600 5人気 三浦皇成 1:32.6 上り34.2
1 4歳以上2勝クラス 東京 芝1400 2人気 三浦皇成 1:20.9 上り33.7
2 3歳以上2勝クラス 中山 芝1600 1人気 T.マーカンド 1:34.5 上り35.3
2 3歳以上2勝クラス 東京 芝1400 5人気 三浦皇成 1:20.6 上り32.6
5 御宿特別 中山 芝1600 4人気 佐々木大輔 1:34.0 上り32.8
1 3歳以上1勝クラス 札幌 芝1500 1人気 佐々木大輔 1:29.9 上り35.4
9 LスイートピーS 東京 芝1800 8人気 田辺裕信 1:46.7 上り34.3
5 LアネモネS 中山 芝1600 2人気 田辺裕信 1:35.9 上り35.0
2 菜の花賞 中山 芝1600 7人気 田辺裕信 1:33.4 上り34.8
3 つわぶき賞 中京 芝1400 5人気 田辺裕信 1:22.1 上り35.7
5 りんどう賞 京都 芝1400 9人気 北村友一 1:22.1 上り33.8
4 OPシンガポールTC賞 札幌 芝1200 6人気 永野猛蔵 1:10.5 上り35.9
1 2歳新馬 函館 芝1200 5人気 佐々木大輔 1:10.8 上り35.6

血統

金色の名は掲載馬 — その馬のページへ/点線の名は押すと一言解説
ピコローズの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
父サトノダイヤモンドSatono DiamondディープインパクトDeep Impact
ストーミングホーム
Try to Catch Me
フェアリーブレス
スイートマイハート
STORY

旅程 — この馬の物語

2022年生まれの鹿毛の牝馬。父サトノダイヤモンド、母ルージュノアール。主な勝ち鞍は京成杯AH。

函館の四百二十四キロ ― 薔薇と届けられた名

2022年5月10日、新ひだか町のチャンピオンズファームに鹿毛の牝馬が生まれた。父は菊花賞と有馬記念を勝ったサトノダイヤモンド。母ルージュノアールも同じ牧場の生まれで、栗東の野中賢二厩舎から6戦して1勝を挙げている。 名はピコローズ。馬主ビジュピコの冠名「ピコ」に「ローズ」を添えた。JRAに届けられた名の意味は「冠名+薔薇」。字面どおりに読めば、花の名前である。 預かったのは美浦の伊藤大士調教師。デビューから重賞を勝つ日まで、この馬は一度も厩舎を移っていない。 2024年7月6日、函館の芝1200メートル。11頭立ての新馬戦に5番人気で臨み、佐々木大輔を背に好位から抜け出して初陣を飾った。このときの馬体重は424キロ。まだ細身の二歳だった。 夏の札幌ではオープンのシンガポールTC賞で4着。秋は京都のりんどう賞で5着、暮れの中京・つわぶき賞で3着。二つ目の白星には手が届かないまま、二歳の一年が終わる。

見送った春 ― 二つのトライアル

2025年1月、中山の菜の花賞。16頭立ての大外枠から、7番人気で2着に食い込んだ。春へ向けて、道がひらけたように見えた。 3月のアネモネステークスは、桜花賞への優先出走権がかかるトライアルである。2番人気に推されたが、結果は5着。権利の届く2着以内には入れなかった。5月には東京の1800メートル、オークスへつながるスイートピーステークスに挑んで9着に終わる。 クラシックの春を、ピコローズは外から見送ることになった。 夏、北へ戻る。8月の札幌、芝1500メートルの1勝クラス。デビュー戦の鞍上・佐々木大輔と再び組み、1番人気に応えて勝ち切った。着差はほとんど無かったが、新馬戦から一年あまりを経て、ようやく手にした二つ目の勝ち星だった。

あと少しの冬 ― 同じ相手、同じ背中

2勝クラスで待っていたのは、あと少しの連続だった。9月の中山・御宿特別は5着。11月の東京1400メートルで、初めて三浦皇成が手綱を取る。5番人気で2着。勝ち馬とは0秒1の差だった。 12月の中山は重馬場。マーカンドを背に1番人気に推されたが、メタルスピードと同タイムの2着に敗れる。 年が明けた2026年2月、東京。三浦が戻り、2番人気で2勝クラスを突破した。2着はポッドロワール。 3勝クラスでは、また足踏みが続く。3月の幕張ステークスは6着で、勝ったのはまたしてもメタルスピード。5月のフリーウェイステークスは8着だった。 7月25日、新潟の芝1400メートル、新潟日報賞。この日は田辺裕信が乗った。17頭立ての3番人気で、2着ポッドロワールをわずかに抑える。冬にも退けた相手をもう一度退けて、ピコローズはオープンの扉を開けた。 次の一戦は重賞になる。ハンデは最軽量の53キロ、単勝は10番人気だった。

九月五日、中山の坂 ― 馬群の隙間

京成杯オータムハンデキャップ。夏のマイル戦線を締めくくる一戦が、ピコローズの重賞初挑戦だった。 伊藤は勝負をかけていた。初めての重賞だからと、それまでにない強い追い切りを課している。体が減っても仕方ないと腹をくくっていたが、当日の馬体重はむしろ前走より増えていた。 ゲートが開く。先手を取ったのはメタルスピード。前年の暮れとこの春、二度ピコローズの前でゴールしてきた馬である。 ピコローズは内にいた。七番手。じっと脚をためる。 流れは緩まない。中盤のハロンタイム(200メートルごとの時計)は、ほとんど上下しない。ほぼ息の入らない、平らで厳しい流れだった。前を行く馬の脚が、少しずつ削られていく。 最後のコーナーで六番手。前にはまだ馬がいる。その先に、武豊のエコロブルーム。 伊藤が狙っていたのは、この馬の一瞬の脚だった。ぎりぎりまで我慢して、空いたところを突く。後にそう振り返っている。 直線。中山の急坂が迫る。ピコローズは内々で待った。 そして隙間が開く。ゴール前、馬群から鋭く抜け出した。逃げたメタルスピードは力尽きて後方へ沈む。前にいたエコロブルームを、最後に半馬身とらえた。 最後の600メートルを、ピコローズはレース全体のそれより1秒近く速く駆けていた。 強い調教に耐えた体への、調教師のねぎらいは短い。「馬がよく耐えてくれました」[^1]

出典:スポーツ報知(馬トク報知)「【京成杯AH】ヤクルトファンの伊藤大調教師がピコローズVでまさかの告白!? 「ローズってみんな...」」2026年9月5日配信、閲覧日:2026年9月23日。

燕の薔薇 ― 名前の奥にあったもの

勝ったあと、伊藤はひとつ打ち明けた。 「ピコローズの〝ローズ〟はヤクルトスワローズの〝ローズ〟から取っているからね。みんなバラだと思っているでしょう? 違うんだよ」[^1] 伊藤は東京ヤクルトスワローズのファンである。この日のピコローズの尻尾の付け根には、球団マスコット・つば九郎の小さな人形が付けられていた。届けられた意味は薔薇。けれど伊藤の胸にあったのは、神宮の燕だった。 伊藤はこの日、デビューから体が20キロ増えたこと、気持ちも強くなったことを挙げている。函館で424キロだった細身の二歳は、444キロになって重賞の坂を上りきった。勝ち切れない冬も、見送った春も、その20キロのなかに入っている。 花の名だと思われてきた牝馬は、小さな燕を尻尾に連れて、中山の坂を駆け上がった。

出典:サンケイスポーツ「【京成杯AH】ピコローズの〝ローズ〟は東京ヤクルトスワ〝ローズ〟が由来?! 尻尾にはつば九郎も!! 燕党の伊藤大師が裏話を明かす」2026年9月5日配信、https://www.sanspo.com/race/article/general/20260905-HBMVUG26ANMD3H6OFT3I7MKTKY/、閲覧日:2026年9月23日。

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